テキスト化に寄せて

「えのはなし」というトークイベントは2021年の9月から12月まで計5回行いました。
もともと、大学の授業などで学生の制作にまつわるたわいもない話を聞くことを好んでいました。同じような要領で身近な作家の話を聞くことができればと思い、Art Space&Café Barrackに企画を持ち込み、場所を借りる形で開催できました。

テキスト化については随分と時間がかかってしまいました。文字起こしや編集は予想以上に大変でした。音声認識の技術は随分と進んでいる印象だったので文字起こしは楽なのではないかとたかをくくっていましたが、そう簡単なものではありませんでした。なんにせよ、締め切りなどが自分の匙加減でどうとでもなる状況だと、自分を律してちゃんとやるっていうのが難しく、少々どころか随分とゆっくりと進めてしまい、関わっていただいた皆さまには恐縮しきりです。

「えのはなし」というタイトルは伊藤廉さんの書籍「絵の話」と同じです。 タイトルを考えたときに、えのはなしをするんだから「えのはなし」で良いかと思いましたが、真っ先に浮かんだのは伊藤廉さんの「絵の話」という書籍でした。拝借するのは少々おこがましいかとは思いましたが、伊藤廉さんの「えのはなし」はもともと小学生に向けて書かれた内容、この企画も難解なものは求めておらず、誰でも理解できるような制作の側面が垣間見えればという思いがあったので、タイトルを拝借しました。

書籍「絵の話」は大学3年生の時の担任の先生に、この本面白いよと教えてもらいました。当時その先生は「絵の話」を読み直していた時期だったようで、昔と受け取り方が変わって面白いんだよ。とおっしゃっていました。 その先生の「えのはなし」も聴きたくて、いずれお話を聞きに行こうと思っていましたが、残念ながらそれは叶いませんでした。

この企画で4人の作家と1人の学芸員のお話を聞き、考えを巡らせることができました。私を含めた美術に関わる人たちのあり方について考えさせらることが多くあり、私の思考も少々変化したのではないかと思っているところです。

「絵の話」また読んでみようかな。
                                          2022年11月

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